揉めない相続
揉めない相続
世の中の多くの方が遭遇する相続。
時には突然その場面が訪れることもあります。そして近所で聞くことは余りありませんが、
ちらほらテレビや雑誌等で見たり目にする相続問題。しかも揉める相続。何となく気にはなりますよね。
気にはなりますが、ヤッパリうちは関係ないわ。そんな財産ないし、みんな仲良しだし。
世間は大変だわ。うちは幸せ・・・
本当に?
先日雑誌で読んだ記事にはこんなことが書かれていました。2020年度の全家庭裁判所の調停・審査で遺産分割された(つまり揉めている)3割以上は遺産額1000万円以下とのこと。遺産額が多くなくても相続は大変のようです。
『揉めない相続』をするためには何が必要なのでしょうか?
まずは、揉める相続を知る。どうして揉めてしまうのか、世間では何が起こっているのかを知って理解しましょう。先程の雑誌のデータのように、揉める原因が一見なさそうな家族が揉めている事実を知り、各自ができる揉めないために今何ができるのかを考えてみることがその第一歩になると思うのです。
相続の一番取っ付き難いところは、なんといっても聞きなれない言葉や、書類のタイトル。それに決められた期限。私などは、もう期限、期日があるというだけで、もうストレスMAXですね。
参考に、相続が発生したときのスケジュールについて資料を載せておきます。期限内にやることはたくさんありますよね。その後も不動産の登記や、公的年金の請求。それに私たち保険の代理店の業務である任意に加入の保険金の請求。結構忘れがちになります。非常に時間と労力が必要になりますよね。
この資料にあります、10カ月以内に行う『遺産分割協議書の作成』。こちらがこの一連の相続手続きが、
揉めるか揉めないかの分かれ道となる遺産分割なのです。
この揉める原因である遺産分割をややこしくしているのが「特別受益」と「寄与分」です。
まず、特別受益とは生前に“財産の前渡し”として相続財産から差し引く仕組みです。例えばお子さんが家を建てるときに親が頭金1000万円を都合したというようなものが典型です。親から子たちにはさまざまな資金のやり取りがあり、誰がいつ、いくらもらったかを全て精算できないからです。勘違いや思い違いの記憶に頼り、それぞれの言い分でぶつかり始めます。お兄ちゃんは大学行かせてもらったのに、私は行かせてもらっていない。なんてね。教育費や生活費は特別受益には当たらないので余計に複雑です。不公平感いっぱいですね。
もう一つの『寄与分』は、生前に残された相続人が財産の維持・増加に貢献した分を相続財産として上乗せする仕組みです。例えば、認知症になった親を介護し、付き添い介護する費用を節約したというようなものです。
ただ、遠くに住んでいる姉はほとんど顔も出さないが、近くに住む私は親を気遣い週に何回も足を運び、身の回りの世話をしていた。この場合は残念ながら寄与分にはならないのです。こちらも不公平感一杯ですよね。なんだか自分が評価されていないようで、腹が立ちますよね。
結局、例に挙げたこれら不満の積み重ねや、その他さまざまな要素が遺産分割を紛糾させる原因です。つまり揉める相続なのです。『特別受益』と『寄与分』をめぐる認識の差によって、話し合いが進まなくなるのです。
揉める相続のイメージは持てましたか?
では、揉めない相続はどのようにすればよいかです。
まず一番の解決方法はやはり、遺言です。遺言があれば遺産分割協議が必要なくなります。被相続人となる親は、相続人となる子供同士が揉めないためにも、自分の財産について整理し、元気なうちに遺言を書き、機会があれはお話しされることをお勧めします。
財産がそれほど多くなければ、自筆証書遺言(証人が不要で手軽に作成できる遺言書)で効力はあります。かなり敷居は低いと思いますので是非ご準備ください。
次の作戦は、穏やかな家族会議を進めておくことです。遺産が現金のみなら問題ないのですが、たいていの場合、不動産や生命保険、株式証券、家財道具などなどがあり、完全に公平に遺産を分割することは不可能なのです。親族が集まる機会に、親としてどうしたいかを口にすることです。そこで、揉める雰囲気であれば、きっと遺言に踏み込む勇気が持てると思います。もっと柔らかく考えるのであれば、自身の思いや、それに至ったいきさつなどを『エンディングノート』という形にして、残された家族に伝えておきたいことをまとめて書いておくことも有効ですね。メモとして綴っていくと負担感はないでしょう。
最後に、有効かつご本人の気持ちがダイレクトに伝わる方法としては、(宣伝ではありませんが)預貯金の一部を、お渡しになりたいお子様を受取人にした生命保険として準備する方法です。「500万円×法定相続人の数」まで相続税が非課税になることもメリットになります。相続人が3人いるなら、1500万円まで無税で妻や子に渡せるうえ相続財産を圧縮することにもなります。
対策として挙げてみましたが、揉めないためにやるべきことは、その他にも色々あると思います。思いや考え方によっても対処の方法は変わってくるでしょう。人によっても性格的に面倒だからやらない人もいると思います。ただ、すべての方の思いとしては将来仲良く、笑顔で助け合って暮らして行ってほしいと望む気持ちです。自分がやれそうな事から、やってみましょう。
今回揉めない相続というテーマで書いてみましたが、相続において争いにしないために大切にことは、相続人の納得感、公平感が非常に鍵となるということです。揉める前、生前から根回しと配慮が必要で、なんとしても争続は回避すべきです。家族関係を密にして、遺産分割協議が無いようにしておくことが最善策と言えます。残された方同士がその後も笑顔でお付き合いができるためにも、お亡くなりなられた方に安らかに眠っていただくためにも、揉める相続は回避してください。
最後に一言
是非とも機会あるごとに、ご親族みんなで昔話や苦労話、楽しかった思い出や悲しかった事など、話す機会を作ってみてください。ZOOMを使った、リモート家族ミーティングなどに挑まれてみてもよろしいのではないでしょうか。
携帯メールで、
『緊急家族会議を行う』
〇月〇日 〇時〇分より
ZOOMにて参加のこと
家族全員出席されたし
父より
(記事:専務 小島)
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